高木恒雄

新たな中心市街地活性化の先 まちづくり三法を考える

 いわゆる「まちづくり三法」の改正等による、新たな中心市街地活性化に向けた施策が動き出す。

平成10年以降に中心市街地の活性化を目指して改正・制定された「まちづくり三法」―大店立地法・都市計画法の改正、中心市街地活性化法―は、市街地の整備改善と商業等の活性化を二本柱としていた。この法律は、インナーシティにおける経済的な活力の衰退に対応しようとするものであったと総括できる。モータリゼーション・アメリカ型ライフスタイルの進展等に対応して進んだ郊外への時間消費型・大型ショッピングセンターの立地により加速された商店街の衰退と、バブル経済の崩壊による地価下落がもたらした都市の経済的活力の衰退を、中心市街地そのものを対象とした施策を中心として食い止めようとするものであった。

しかし、今回の法律改正は、人口減少・超高齢社会が迫っているなかで、「都市・まち」のあり方そのものを再構築しようとする考え方が色濃く出されている。すなわち、地域社会の維持や行政サービスの効率化のため、商業施設や公共施設などが郊外に拡散し、低密度化している市街地を、コンパクトにしていこうとする考え方である。市街地の「心」として、人々の生活を多面的に支える中心市街地の再生が求められている。

さらに、国は、これまでの中心市街地活性化施策が確たる成果をあげてないとの反省のもとに、全国で100程度の都市―県下の第1,2位の規模の地方中心都市が主な対象か―に施策を集中するものとしている

 無論、選択と集中の対象となる都市以外のところで対策が必要ないわけではなく、小規模の「まち」でも「中心性」の創出やコンパクト化が求められていく。行政サービスの効率化のため、さらに人口減少・超高齢化のなかで、コミュニティやコミュニケーションの「心」となる場づくりは、コミュニティ・地域社会レベルで必要とされるのではないか。

公共施設・サービス施設の集中ばかりではなく、交通弱者に対する公共交通などアクセス対策、さらに、人が集まる「心」づくりが望まれる。いつでも人と触れ合えるような場を創り出していくことが必要だ。ヨーロッパの小都市で、広場に面してカフェがあり深夜まで地域の人々が集まり、会話を楽しんでいるように。ITだけでは豊かなコミュニケーションに満ちた人生を楽しむことは出来ない。

要は、住みなれた地域で、豊かなコミュニティやコミュニケーションに満ちた人生を送ることのできる社会・都市空間・基盤づくりが必要なのである、高齢者ばかりとなり、人口が減っていく地域においても。

 このためには、郊外にすでに立地している商業施設をむしろ活かしていくケースもありえるし、コンビニを核としてこうした場づくりに取り組んでいくことも考えられるだろう。

今回のまちづくり三法の改正は、来るべき人口減少・超高齢社会に対応した大局的な「都市構造」への処方箋であり、これとあわせて、身近なコミュニティをどう活性化して行くのかが、引き続き問われていくことになる。

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